KENWOOD DP-1001改造記                                                                             

KENWOOD DP1001の改造記です。KENWOODらしいパンチの効いたものをガラリと変化させるための改造です。 
工房はCDを四六時中鳴らしています。作業中に邪魔にならない小さな音量ですが音質には、かなり拘わっています。
音質は個人の主観そのものですから以下のパーツを交換したら誰にとっても良好な音になるとは言えません。

DP1001は1995年頃の発売で既に18年位が経過し各部品の寿命は尽き始めていると言っても過言ではないでしょう。
改造を行えば耐用年数が伸びると考えるのは見込み違いかもしれません。希望や期待は現実と異なります。


   

 

 
 
完成写真




ヤフ・オクで中古のKENWOOD DP−1001を入手しました。
フィリップスDAC7の使用で有名なCDプレーヤーで発売から10年ほど経過した商品です。

荷解きをして鳴らしてみたら驚きです。ドンドン・シャリシャリと刺激的な個性がありますが、
とても陶芸の工房のBGM用には不向き音質です。やかましくて気が散ってしまいます。
高音がキンキンと耳障りで、なぜか低音が太鼓のように響く、へんな構成です。

これでは陶芸教室の時の緊張した静かな空気に流れると場違いです。

先輩諸氏のデータを元に改造してみることにしました。
<参考資料>
「ドクター鈴木」さん:回路図付きの懇切丁寧な解説   http://tsdoctor.ddo.jp/dp1001.htm
「音との戯れ」さん:BB情報          http://niconico.uiui.net/1_right_DP-1001.html
「諏訪工房」さん:交換用ゴムベルト整作 http://www.suwa-koubou.jp/repair/fr_v5/fr_v5.html

改造前と改造後の聴き比べのためにDP1001の中古を2台用意して作業です。

(左の画像は改造終了時です。)

 
(左側の白地背景が旧部品、右の灰色背景が改造部品です。)  モガミ
 

CDから読み取ったデータ、DA部からアナログへの変換に使用されているコードは
6芯しかありません。これでは心もとないので12芯に取り替えます。
ベルデンコードという手もありますが太すぎるので見送りました。

信号系はモガミのNEGLEX 3154のシールド線を使う事にしました。

 

 

 
OPA2604AP

 

オペアンプはJNC4665DDを引き抜きバーブラウンのOPA2604APに 差し替えます。
念のためにICソケットを使って将来の差し替えが容易にできるように しておきました。
2604APは安価なので気軽に使えます。大人しくて豊かな感じの音です。

 


2604APは±4.5〜±24V。供給する電圧は5Vなのでギリギリのセーフです。

 
OSコン

 


DA部にはOSコン10V−220μFを4個。
アナログ回路にはBlackGate16V−47μF×2個に交換しました。

2604APとの相性は申し分ありません。

 

 

 

 
DAコンバーター基板
 
DAコンバーター基板の全景です。
12芯の配電コードとモガミのシールド線に付け替えています。
コンデンサーの天場が赤いのがOSコン10V−220μF×4個です。

右端のICチップがBBのOPA2604AP。

プリント基板が紙製?・・・とても情けない仕様です(>_<)
パーツの外しと新規の取り付けには慎重を心がけての作業が肝要ですね。

(最終的にはPOWER供給回路のコンデンサーも全て新品に交換しました。)

 

OPA2604

      

 

KENWOOD DP−1001の出力回路詳細です。
オペアンプ頼みでアナログ回路が少なく寂しい限りの構成ですね。
コンデンサーをズラリと並べて充実感溢れる構成が中級品の見所なのですが、
売価から言えば仕方がないのでしょう。

しかし、ここにBBのOPA2604APが据わると抜群の威力を発揮します。
高域まで十分に伸びきり中高域が膨らみました。
とても価格から想像できない程の信じがたい能力だと思います。
コンデンサーの天場が赤いのがBlackGate16V−47μF×2個です。
<2010.2.24更新>

C25・C26の470pF×2を外しますと確かに華やかな音になりますが、
当方のシステムだとJazzやクラッシックは騒がしく、147pFに入れ替えるのがベストでした。

ICソケットをばらしてピンだけをハンダ付けし100P・ 147P・200P・ 300P ・470Pの
5種類の双信デップマイカを挿し替えながらテストしてみた結果です。
使用するアンプとスピーカーによって音質は変わりますので最適値はソレゾレかと思います。

ピン立て

 

 
10V−100μF
 

■結果■

クラッシックもJazzも歌謡曲だって見事に細部まで再生してくれるようになりました。
8時間鳴らし続けても聴き疲れしない音色です。
居間の メイン機器にも負けない完成度だと思います。

某メーカーと某メーカーのピックアップにはKSS-240Aを入れ替えても無調整で動作しますが、
DP1001に認識させるためには精密測定器が必要です。測定器が無い状態では
数時間かけても数日を費やしても動作させる事が出来ませんでした。
「印を付けてボリュームを回し元に戻す」動作をすれば本体に負荷がかかります。
残りの寿命が短くなることを覚悟しなければなりません。
(或る人が努力で成功したと知り挑戦しましたが手に負えませんでした。)

ピックアップ部KSS-240Aの6.3V−100μFは新品の10V−100μFに交換しています。
音飛び対策に効果がありますが其の場しのぎで単に延命措置程度と考えておくべきでしょう。
コテ扱いの熟練を要しますので愛好者の方の作業は極めて危険です。
ハンダゴテの熱でプリント基板が焼き切れ一瞬で昇天します。

CDの押さえアダプターはコンクリートボンドで凹凸を埋めてから1mmゴムシート貼りで
上蓋のプラスチック部を全面に覆いました。

あっ、それと電源コードが古くて細すぎるので、太く短く美しく=60cmの新品に付け替えました。

 

 
 
開閉ゴムベルト
 


開閉ゴムベルトの製作にはOLFAのラチェットコンパスカッターを利用して製作します。
大きさも太さも自由に選べて重宝です。

1mmゴムシートを切り抜いて輪ゴムを作り試しに作動させてみましたらチャンと動作しました。
完璧に均一の太さにならなくても大丈夫なようです。
オリジナルより僅かに薄いので耐久性は短くなりますからコマメに取り替える必要があるかも。












 
自然換気
完成姿

 

自然換気方式に改めました。

左が底板でピックアップ部に吸気するための穴で6mm×40個、パンチングボードと
1mmのステンレスメッシュでカバーしています。工房の土埃防止仕様です。
(真鍮版貼りは単に美観だけです。効果は期待できるほどのものではありません。)

右が天板で6mm穴×171個を同様に防塵仕様です。
本来なら電源トランスを中心に空気穴を考えるべきでしょうけど、
CDピックアップの冷却を主に考えましたので開口部が真ん中近くにしています。

効果は真夏の仕事場でも大丈夫でした。酷暑の中、連続運転に耐えています。



 

 

 

 

底からの吸気を確保するために付属の足にピッタリ合うサイズの
タカチ製の「TC型アルミカバー付きビス止めゴム足G」を4個嵌め込みました。
これで下部の空間が、ほぼ倍になりました。

 

 

 




 
電源部





電源部を強化しました。C7.C8のブロックコンデンサーは3300μFを15000μFに。
天端と中間をホットボンドで固定しています。

C11.C12の220μF×2を16V1000μF×2に変更し、他は全て新品に入れ替えました。

 

 

 




 
 
CD部
 

CDコントロール基板もほぼ全面的にコンデンサーを新品と交換しました。
高さに制限がありますので”横倒し”や”はみ出し”のありさまです。

経年変化でコンデンサーの容量抜けがあるとピックアップの読み取り誤差を招いているようです。

結果は操作ボタンを押すと極めてキビキビと軽快に読み込み・再生をしてくれます。

電源を入れてCDを認識するまで4秒位で再生ボタンを押して音が出るまで3秒程度です。


       
 
抵抗交換
 

<余談です>

使用されている抵抗が余りに小さくチャチなので、
そのうちの1台に評判の良い進工業の抵抗24個をDA部と出力段に取り付けました。
リケノームが収まる所には4本交換。

アンプとスピーカーが小型なので交換部品の差は聴き取れませんでした。





     
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